大阪なおみ「ヤジに負ける」を図解
テニスの大阪なおみ選手が、観客からのヤジの影響でパフォーマンスを発揮できない(日本時間の2022年3月13日)にという記事を見て、考えてみたことを図解してみます。
- 大坂なおみ「ヤジに負ける」
- 「ヤジに負ける」構造から考えたこと
1.大阪なおみ「ヤジに負ける」
大阪なおみ選手が「あなたは最低!」とのヤジを受け、テニスの試合でパフォーマンスを発揮できなかったという記事が掲載されました。
思わず涙があふれ出た。第1セットの第1ゲーム終了後、観客から「あなたは最低!」とのヤジが飛んだ。大坂は観客席の女性と話すために「マイクを貸してもらえないか」と主審に歩み寄るも試合は続行され、0―2となった第3ゲーム時には、サーブを打つ前に目からは涙が…。その後、主審と大会関係者が大坂と話す場面も見受けられたものの、一度狂った歯車が戻ることはなかった。敗戦が決まると再び涙を流した。
涙の大坂なおみが2回戦敗退「ヤジに悩まされた」心なき言葉に海外でも波紋 (東スポWeb) – Yahoo!ニュース
Yahooのコメント欄を見る限り、「プロとして失格」「自分自身をコントロールできないなら引退しろ」など厳しい意見が相次いでいます。
では、なぜ大阪なおみ選手が試合の途中で涙を流したかというと、ご本人下記の様にコメントしてます。
試合後には敗者としては異例のスピーチを行い、観客の声援に感謝しつつ「以前にもヤジを浴びせられたこともあるけど、特に気にはならなかった。でも、ここでヤジを浴びせられて………」と言葉に詰まり再び涙。目を真っ赤にしながら「ビーナスやセリーナがここでヤジを浴びている映像を見たことがあるのですが、もし見たことがない人はぜひ見てほしいです。なぜだか分からないけど(その場面と重なってしまい)頭の中に何度も浮かんでしまった。泣かないようにしようとしたんだけど」とコメント。大坂が憧れるビーナス、セリーナのウィリアムズ姉妹に罵声が飛んだ2001年大会の映像が“フラッシュバック”してしまったと説明。
大坂なおみ ヤジに傷つき2回戦敗退…異例のスピーチで涙の理由説明「ビーナスやセリーナの姿と重なった」― スポニチ Sponichi Annex スポーツ
かつで憧れだったビーナス、セリーナがヤジを浴びせられるシーンをフラッシュバックし、泣いてしまったと説明しています。
「ヤジに負ける」構造から考えたこと
私(図解太郎)は、人は言葉を発する側にも、言葉を受け取る側双方にプラットフォームの様な物が存在し、そのプラットフォームを介して個々の解釈が入るため、同じ言葉に対する解釈や、その後の反応も人それぞれになるものと考えてます。つまり、ほぼ同じ方向で理解している事柄ももちろん存在しているが、その場合でも微妙なところでそれぞれの解釈は異なってたりするのだろうと考えるのです。
下記のニーチェの言葉のように、事実や真理などというものは実は存在せず、あるのはその人の解釈だけではなかろうかと。
事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである。
ニーチェ
では、今回の大阪なおみ選手の構図はどうだったかというと、下記のように考えました。つまり、ヤジを外部から受けた際の大坂なおみ選手での受け止め方は、非常にネガティブなプラットフォームの回路になっており、「泣きじゃくるセリーナの顔」を思い浮かべ、結果として自身も動揺して涙を流すことになったのではと。
では、同じヤジでも違うプラットフォームを持っていたらでどうだったか、一つの可能性を考えました。
下記は、外部からヤジを受けた際に、「泣きじゃくるセリーナの顔」ではなく、「ブーイングを受けてもめげずに勝利をしたセリーナの姿」(事実、2001年インディアンウェルズでセリーナは勝利しています)を思い浮かべ、逆に大阪なおみ選手自身も奮起するという可能性です。
この様にプラットフォームでの解釈次第では、ネガティブな要素をプラスに変えることにもできるのです。なので、私個人としては「心を強くする」という抽象的なアドバイスよりは、自分の解釈のメカニズムを理解し、少しづつ学習の上書きをしてヤジに負けないように(むしろ活用できるように)修正すればよいとのでは?と考えました。一介のサラリーマンにアドバイスなんて求めてないだろうけどw
このプラットフォームの考え方は、ビジネスにも結構使えるんじゃないかなと思ってます。例えば、できる営業(上司部下でもいいですが)がする「傾聴」ってどういうことだろうと考えると、聴く相手のプラットフォームまで理解する努力をすることなんじゃないかなと。
下記のように傾聴は、相手がおかれている背景を理解し、表情・仕草・声など相手の全てから感情などを想像・想定した上で、相手方のプラットフォームに寄せて解釈するという行いかなと。これができる営業は強いですよねー。Aさんの様に話す側からすると、「Bさんなら話わかってくれる」と信頼を寄せることになるはず。
完全横道にそれましたが、傾聴という言葉で思い出したジョジョの言葉で最後は締めたいと思います。
観察しろというのは……
空条承太郎/ジョジョの奇妙な冒険 第四部
見るんじゃあなくて、観ることだ…
聞くんじゃあなく、聴くことだ。